ソームと話した政治のこと。

【第2回】サラリーマン時代 〜決起前夜〜

  • 松岡信道
  • あめのもりたけし

サラリーマンを経て、きっかけは何なの? どんな想いで立候補に至ったのか。

そもそもさ、アメヤンは知ってると思うけど、小学校、中学校、高校と生徒会長やってたからさ。そういう生き方はしてきてた。大学の時に市議会議員さんとか隣の街の市長さんとかにインターンシップをさせてもらって、その時に「普通の人間ができるような仕事じゃないな」って思って。

ほう、どういうこと?

僕がお世話になった先生は別として、ほとんどの政治家が組織の上に乗っかって仕事をしている姿を見てさ。あんまりおもしろくなさそうやなって思ったんよ。それで俺は結局、就職しようかなって思ったんやけど、教員になろうと思ってたから教職免許をとって、俺らの母校、北野高校に教育実習に行った。で、1日だけ府下一番の指導困難校とされる学校にも行ったんやんか。

それはなんで?

それは、北野の指導教官が「お前、こんなところで教育実習をやってても、全部の高校がこうじゃないよ」って言われて。北野は進学校やからね。それで1日だけ行った。そしたらもう想像を絶する有り様なわけよ。【指導困難校】とされるところ。その日1日だけでも「見かけん顔やな」ってカラマレたし(笑)

悪い! 怖い!(笑)

そう。北野やったら生活指導なんかほとんどないけどさ。そんな高校に配属されたら生活指導ばっかりやねん。社会の授業を見せてもらったんやけど、「日本国憲法のココからココまでを写せ!」って言われて、生徒が書き終わったら「じゃあここにある漢字の読み書きをやるぞー!」って。そんな感じよ。

社会なのか小学生の国語なのかよう分かれへん(笑)

それくらいの次元で。そんな授業でも生徒は化粧してたり、ゲームしてたり、授業中にケンカが始まったりで、授業うけてるのは教壇の前の5人くらい。結局その子たちの進路っていうのは先生が「この子はええ子ですから雇ってあげてください」って工場を回ってって感じなんよ。彼らは高卒で働いていくわけやから、それが最終的な進路になる。それでも全員が働けるわけじゃないし。

そうやね。働ける方が少数かも知らん。

そう考えたら「俺、このまま教員になっても、自分は働いたこともないし、教員として働いたとしてもこの子たちのために何かを教えられるのか」みたいに考えてしまって。たとえば北野なら勉強を教えられても、そういう所に異動させられたら何も教えられへん。何も役に立たへん訳やん? 

そうやな。

だからどんな高校であっても子どもたちに教えるべきことっていうのは、結局【働く】ってこととか【生きる】とかさ、そういうことやったりするわけよ。それで社会人を経験してから教師になろう、と。

あ、じゃあその時点では社会人を経て、先生になろうと思ってたんや。

そうそう。そういうことが視野に入ってたから、街の工場の社長とかに出会わないとあかんやん? それで金融関係がいいのかな、と。あと将来、仮に立候補するとなっても大阪におった方がいい。そういうことを考えて、まあ○○○○(←大手メーカー)も○○○○(←有力地方銀行)も内定もらってたけど、金融機関で働くことにした。

豊中市議会議員 松岡あきみち 決意

なるほどね。サラリーマンはどうやった?

それがまた、仕事がおもしろくてさ。

あ、そうなんや。

辞める気なんか、さらさらなかった。金貸しの商売やから企業の決算書を見て、業界のことを学んでさ。その会社がどういう位置にある、とかさ。そういうのを見極めてお金を貸したり、回収しにいったこともあるし。普通はあまり経験できへんことができた。

ん~、確かにおもしろいわね。

そう。手前味噌ながら成績がよかってん。営業の。ところが異動の噂が出てきて。

何年目に?

2年目。成績もよかったのに。「なんで?」って思って。で、上司に「こんな噂が流れてるんですけど、僕は納得いきませんよ」と(笑)

言うたった(笑)異動っていうのは、左遷的なこと? その会社の風土としては、成績が悪い人がなる感じなん?

いや、あながちそうとは言えへんけど。まあ結局、異動させられてさ。部署が変わっただけで大阪から出るわけではなかったんやけど。そこで「やってられるか!」って思ったんよ。

そらそや。がんばってきて、成績もよかったわけやから。

そうそう。ふざけんなって思って(笑)でもそんなことでサラリーマンがいちいち腹立ててたら、勤まらへんやん? だからそれはそれで行った先でまた学ばせてもらおうって思って。


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