【第4回】ソダーバーグ最新作、オーシャンズダブルフェラ
僕たちがAVと呼んでいるのは、申し訳ないけど、今となっては狭義には3分動画ですよね。俗にいうサンプルの3分動画×3本。
そうやねぇ。9分。もうちょっと長いところもあるけど。
てことはコマーシャリズムに乗っかって、その9分にいい部分が詰め込まれているってことですよね?
まあそうやな。エッセンスはしっかりと入っていると思う。でも女優モノやったらだいたい決まってるやんか。1本目は普通の絡みで、2本目はオナニー。で、3本目は3Pとか。ちなみに、オナニーシーン好き?
いや、僕はいらないんですけど、欲しい人がいるっていうのもわかるんですよ。需要は見えるというか。
まあな。
ただ個人的にはまったく良くはないですけどね。
うん、俺もオナニーでいいと思ったことないなぁ。テンションが上がることはない。
ていうか、正直どこを触ってんのかもいまいちよく分からない。
ハハハ。実は太もも触ってるだけかもしれんみたいな(笑)
「いく、いく」言ってるだけかも、みたいな恐怖があります(笑)
そうやね。でも紅音ほたるとかはオナニーとかでもザッサー! って潮吹いたりしてて、ああいうのはちょっとテンション上がるかな。
付加価値がついてますからね。でも大沢佑香とか紅音ほたるの潮吹きって、雑な潮吹きじゃないですか。何しても吹くし。いじり方とか。あの横にこする感じ。
ケンタローばりのスクラッチ。
お豆をレコードに見立てて(笑)
あと俺は、3Pのときのダブルフェラみたいなすごいイヤ。なんかもう、インテリジェンスがなさすぎて。なんやろ、先進国の感じがせぇへん(笑)
(笑)僕はこの企画に臨むにあたって、洋モノを何本か観たんです。サーシャ・ギドリっていう全米ナンバー1女優が主演の。彼女はソダーバーグのガールフレンド・エクスペリエンスでもお馴染みです。
ポルノ女優って、つまりは日本のAV女優?
そうです。ほぼダブルフェラでしたね。それを推しに推してくる構成で。とにかくぜんぜん近代的じゃないんですよ。日本はその点、すごいですよね。我らが日本、エロ先進国、ポルノの国、ニッポン。
日出るポルノ!
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「ザ・ガールフレンド・エクスペリエンス」The Girlfriend Experience HD予告編
観たら一瞬で分かるくらいに作りのレベルが違うんですよね。基本的に下品だし。もう初っ端からお尻がミニスカートから半分見えてるんですよね。ガーターベルトが覗いてて。あんなのガキの使いの笑ってはいけないの時の藤原(元マネージャー)ですよ。
なるほど(笑)
そんな状態からスタートを切って、そのスカートを履いたサーシャ・ギドリ演じるセールスマンが豪邸に商品を売りにいくんですね。その途中の道でボールペン落としたりして、それをわざとらしく拾ってみせたり。
うわー、荒いなー。
セックスに至るまでも荒いし、行為そのものもダブルフェラですから。文明の香りがしないというか。
でもさ、そもそもサクライ君とか俺と世代がぜんぜん違うからVHSでエロビデオなんか観たことないでしょ?
でも僕は実家が副業でビデオ屋やってたんで、小学校くらいから観てるんですよね。映画とかも含めて。しかも親がスケベだったから、店から持ってくるんですよね、AVを。だから俺はAVデビューが早めで。小3くらいでした。
マジで? はや!
最初に観たのは刑務所もので、これが半端なじゃないくらいモダンな出来で、ストーリーもしっかりしてました。
ちなみに女優は誰やったかとかは覚えてないんの?
それが分からないんです。とりあえず女優は3人でてくるんですね。レズあり、SMありで、内容盛りだくさん。
またまたアイコンたっぷりや(笑)
しかも、ストーリーとしてまったく矛盾なく、滞りなしで進んでいくんですね。おそらく20回以上は観ました。
やっぱり日本のAV界の底力やな。
最初に観たそれが基準になってますね。
でもどうなんやろ。今はみんな基本はサンプルでしょ? 今はっていうか、ここ10年くらいかな? 俺もここ10年くらいダウンロードし続けてるし。
グロとかスカトロとか、そういうコアなエロスではなくて、ポップなエロスを求める我々にとっては、“AVを買う”っていう文化はないですよね。
ないない。借りることもないし。っていうか、そもそもDVD借りて観るのって不便やろ。
不便ですね。ヌキどころの問題もあるし、あとは例えば、一本まるごと吉沢明歩っていうのがつらいんですよね。
あー、そうやな。「さ、オナニーでもしよかな」って思ってAVを観る時に、まあ吉沢明歩もみたい、鮎川なおもみたい、素人系も5、6本観たい……って思うもんね。
浮気性な我々の性としては。
うん。吉沢明歩の120分を借りてきて「よし、これでオナニーしよう!」っていうのが、完全にシーキビ。そんなことはでけへんなぁ。
AV観るときの基準として、“バーチャル彼女として観る”っていう選択肢が無くなっているんですよね。
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Akiho Yoshizawa(吉沢明歩) Teacher
そう。セックスの代替としてオナニーをするんじゃなくて、一つの文化としてオナニーを楽しんでる。それこそ、「ダウンロードをする」っていう部分から楽しんでる。「あ、今日どんな動画があるんやろう」みたいな。
まずはそこが楽しみですもんね。
あとはサンプルのキャプチャ画像だったり、サムネイルについてるキャプションだったり、キャッチの付け方だったり。その辺のパッケージ込みでAVを楽しんでるんよな。
だから我々は、「AV世代」というよりは「3分動画世代」という。
そうやな、これがゼロ年代を象徴する楽しみ方なんやね。
現代人の早漏化。3分、1ラウンド!
でもAVって言わば1つの作品やし、それがいいのかって言われると誠に面目ない。カンパニー松尾に面目ない(笑)
申し訳ない。本当にいいモノはしっかり作り込んでますからね。