愛!愛ありゃこそ!イーアー!!ができるまで

『あら、いいですねぇ』が何度も押し寄せて……

  • オカダ ケンタ
  • 平山 健宜
  • あめのもりたけし

一番最初に文字組のサンプルを見せてもらったのが、たしか2009年の5月くらいだったような気がします。平山さんが僕のテンションを上げるためにわざわざ出力して、裁ち切りのデータを持って来てくれた。それと同じタイミングくらいで表紙のラフも見せてもらった。

あー、そうかー。

もうね、テンションの上がりっぷりが半端やなかったですけどね。

自分が書いた文章がはまってたんやもんな。

そうですね。印象がぜんぜん違うんですよね。ブログを書いてても全部ヨコ組ですし、スペースのギリギリまで文字が流れて、そこで折り返してって、本とはぜんぜん体裁が違うじゃないですか。仕事で自分のコピーが入るのとも全然ちがうし。あれを見た時に「あ、ほんまに俺、本を作っていくんやな」って思いましたもん。

あ〜「俺、こいつと結婚してやっていくんやな」みたいな感じか。

そう。一生添い遂げるんやっていう。テンションの上がりっぷりがね。ほんとに。

確かにあの時あめやんの声、デカかったもんな。

そうです。デシベルを普段より3ほど上げました。

「ホワーー!!!」言うてた。

あの時は確かね、3段組みもあったんですよ。タイトルが斜めに入ってる感じはその時から基本的には変わってないですけどね。

そうやな。それも何パターンか見せたよな。

あ、そうか。タイトルも斜めじゃないものありましたね。

そう。1段に収まるように入れたパターンもあった。何パターンかはあったね。

ここのタイトルの入れ方にはポイントみたいなのはあるんですか?

いや、なんせ長かったから(笑)。さっきの「ページ数をおさえたい」って話で、どれが一番有効活用できるんかっていうのを考えて、あんまり奇抜な組み方するとページ数を食うし、でもすんなりおさめるのも面白くないし、みたいな。そのバランスを考えた時に、ちょうどええ感じがここらへんかなって。

岡田さんはどんな印象ですか? この斜めのタイトル。

ふんふん……うん、え? いや……ええと思うよ。

(笑)

なんやねん(笑)

いや、すいません(笑)

でも、文字はちょっと斜めにふるだけで表情が出るな。コレ、まっすぐやったら完全に普通やから。

それはめっちゃありますよね。あと、このタイトルと本文のマージンをどれだけとるかっていうのも議題にあがりました。

一番文字数の多いタイトルを基準に幅を割り出して、1行の場合にそれを詰めるのか、もしくは短い時でも、2行の時に統一するのかっていうのを話したね。そこは「詰めなくていい!」っていう岡田さんの鶴の一声で決まった。

それ、岡田さんの英断でしたっけ?

ん? 俺、そんなん言うたっけ?

相談しましたよー。ここ、詰めるかどうか。

ん〜……うん……

まったく記憶にない、と(笑)

アメヤンはそこが気になるって言ってたんよ。「もったいない」と。

うん。「もったいない」「スペースを稼ぎたい」っていうのはすごくあったんですよね。貧乏精神が半端やないんで。

そう。それで岡田さんに相談したんですよ。僕は詰めなくていいと思ってて、でもアメヤンはスペースを稼ぎたいって言うてて。それで岡田さんに聞こかって。

そんなん言うたっけ。あ、そう。

なんなんですか! その感じ! 英断やったのに!!

お、すまん(笑)まあ……こんなん言うのもアレやけど、今見ると詰めてもええかな、と(笑)

アハハハハ!!

ただ、そこの幅を可変にしてたら本文を組む時の作業の時にだいぶ辛かったなぁ。だから五分五分やわ。実際の雑誌を見ても詰めてるのもあれば統一して空けてるのもある。

あ、タイトルの長さによって本文の始まりの場所を変える場合もあるってことですね。

いや、それはないよ? え? どこの話? この小見出しの所の話やんな?

ちゃうちゃうちゃうちゃう!

この5分間の話、なんも聞いてなかったでしょ!

(笑)え?

なんかおかしいなって思っててん(笑)

思ってました(笑)

それはコッチのセリフやわ。あ、タイトルの部分の話かいな。言うてぇや(笑)

ずっと「タイトル」って言うてたじゃないですか!

斜めに振ってるとか!(笑)

分かった、分かった。もう1回やろ、タイトルの話。もう1回。

しませんよ! もう!

ここは詰めないのがデザイン的には定石ですか? やっぱり読みづらい?

そうやな。やっぱりアメヤンとしてはお金も出してるし、無駄なく作りたいっていうのはもちろんあると思うけど、デザイン的には余白がある方がいいよな。タイトルが1行だろうが2行だろうが、本文の始まりの位置は変わらん方が、やっぱりリズムよく読める。


【第3回】「「チャラララン♪ 基本ふぉ〜まっと〜」(←ドラえもん風)」を読む