【第3回】フリージャズ=スカトロ??
だいぶ話が整理されてきたね。「制約」とか「禁止と侵犯」っていう考え方を通すと、音楽やファッションにもエロスを感じていける、と。
そうなってきますよね。ケージに至ってはもう生きてることすらノイジーで侵犯的だ、みたいな実験を始めちゃったりなんかして。
ほお!
有名な無響室の実験っていうのがありますね。音を完璧に遮断した部屋を用意し、コインロッカーベイビーズなど出てくるような実験なんですけど、そんな部屋に自分が一人だけ入ります。
そうやね。
完璧にノイズレスなその部屋では、最初は本当に音が聴こえない。ただ何分かして気付く高い音と低い音の2つ音があるわけです。それが神経系統が動く音と毛細血管を血が通る音だっていう。ケージ、言うてること、モッサかっこいいなー。
テッサかっこいい! 大友(良英)さんもSachiko Mと完全に遮断された別々の部屋で音を出し合ってアンサンブルにするっていうことをやってた。お互いに何をやってるのか分からん状態で、それぞれに音を出すわけ。そんなのも「制約」の音楽やわな。フリージャズとかインプロとかいっても、他の人の出す音は聴こえてるわけで。音楽としては、言わばメチャメチャなんやねんけど、ただまぁそれを聴きにきてた人はみんな勃起してたって言う(笑)
カウパーがもう半端じゃない!
みんながイチモツの位置ポジを!
張り付いて仕方ない!
ネドベドかいな(笑)
勃起ですよねー。ジャズで言うと、サックスはノイズ発生マシンとしての機能があるし、ドラムなんかは、いろんな国の打楽器が合わさって作られています。ナルヨシ・キクチが「ドラムセットっていうキメラマシンがジャズを変えた」みたいなことを言ってましたと。
ド変態、ナルヨシかいな(笑)。彼奴はほんまにド変態やからな(笑)
で、例えばジャズというジャンルの音楽が、例えばフリージャズに向かえば向かうほど、要は官能性を増せば増すほどメインストリームからは外れていくんですよね。
あー、なるほど。
つまりエロスというのも、一線を越してしまうと人によっては目を覆いたくなります。
いわゆる、グロ。
そう。グロになってしまう。『眼球譚』にも、途中どうしても目を覆いたくなるようなシーンってありますよね。
あるねー。
AVでもこのジャンルは無理とか、ここだけは見れないっていうのがあったりしますからね。
他の人は見れるけど、俺は見れないとかね。
そうです。エロエッセンスを入れすぎればグロも増えるわけですね。そうすると購買層は限られてくる。ジャズに例えるとすると、エロティックな要素が増えれば増えるほどセールスは厳しくなる。だからもっとポップにエロを提供できるR&Bとか、それこそさっきの倖田來未とかのエロさがマスには受け入れられるんですね。
そうやな。例えばスカトロなんて、一部の層には絶大な支持を得るんやけど、やはり相対的に他と比べるとニーズは低い。フリージャズはスカトロやってことやな。
そうですね。フリージャズは完全にスカトロです。
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Kurdish Dance 山下洋輔、菊地成孔、林栄一 【Live In 嬉野'92】
ハハハ……て、怒られるわ!(笑)
山下洋輔スカトロ説。下痢で顔洗ってる(笑)
朝からスッキリとうんこ(笑)。つまりバランスやね。倖田來未がエロいと思う層と、うんこにしか萌えない山下洋輔層(笑)。バタイユ的にはどっちがエロいかっていうと、スカトロ側にふってるエロスなんやろね。
「死に近づけば近づくほど」みたいな言い方をしますよね。バタイユは。
『眼球譚』でも、目ん玉くりぬいたりするくだりとかは正直、俺も目を覆うというか。
ちんこの勃たないエロですね。でも、前半だと俺はギンギンで、正直何回かヌイてるくらいです。
アハハハハ! 確かにマルセルが出てきた辺りでは俺も勃起したなぁ。
ただ、やっぱり後半は正直……。
うん、きついね。今の言い方で言うと、背徳感が前に出過ぎて。単純にグロよね。
さっきの「死に近づけば近づくほど」っていう考え方をすると、SMなんかが分かりやすいですよね。
うん。映倫とかビデ倫とかの問題はあるけど、やっぱり死体とセックスをする、みたいなのが究極なんやろね。男女ともに死ぬ直前の状態でスタートして、果てて、腹上死みたいな。
ハメ撮りとかでやってほしいですよね、カンパニー松尾あたりに(笑)、ドサって枕にビデオカメラが落ちていく……。
それあったらすごいよ(笑)
暗転して「fin」って白文字ドン! みたいな。どうですかこれ。
天国でカンパニー松尾とバタイユ、がっちり握手やな。
「カンパニー君、観たよ。最高じゃない!」みたいな(笑)。本当に究極はそこですよね。大島渚の『愛のコリーダ』的な。
渚はめちゃめちゃアナーキーやからね!
渚とバタイユ、阿部定が集まってがっちりスクラム(笑)
(笑)
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『愛のコリーダ』 予告編
でもあの作品はエロさが半端じゃないです。フランスでも評価高いですし。あちらでは無修正版だったんで、藤竜也のオティンティン丸出しで、フランス人総勃起(笑)
「国民総勃起宣言」かいな(笑)。言い換えると「脱・総萎え宣言」とも言うけどな。
逆に言えばですね。国民総勃起時代到来!
てなことで、とりあえずバタイユ編はそんな感じかな。続いてAV編に行きましょう。
そうですね。とりあえずは大きな概念というかフォームとして、バタイユのことがザックリ分かってもらえたらいいかと思います。